農畜産業振興機構の『畜産の情報』2月号に秋山・堀口・宮入・軍司の外国人研究の成果が載りました。

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農畜産業振興機構、のホームページにまず入ってください。そして『畜産の情報』2月号をクリックすると
下記の目次が出るので、クリックください。
なおもともとの詳細な報告書も同振興機構のホームページで、畜産、委託研究、と探していただくと
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調査・報告 畜産の情報 2022年2月号
肉牛繁殖・肥育経営および酪農経営における外国人労働力の役割
宇都宮大学 農学部 教授 秋山 満
早稲田大学 政治経済学術院 名誉教授 堀口 健治
北海学園大学 経済学部 教授 宮入 隆
早稲田大学 地域・地域間研究機構 招聘研究員(現福知山公立大学) 軍司 聖詞
【要約】
1 はじめに
2 日本農業における労働力不足問題
3 外国人農業労働力調達制度の概要と課題
4 北海道酪農における外国人材の受入実態と課題
5 栃木県酪農業における外国人農業労働力受け入れ
6 鹿児島県の畜産の事例にみる経営と労働力のあり方
7 おわりに
【要約】
 現在の担い手不足に対し、畜産業ではすでに年間3000人強の外国人技能実習生が受け入れられているが、先行地域ではさらに、中高卒者中心の実習生のみならず、大卒の専門的・技術的分野の人材(技術・人文知識・国際業務ビザの人が主)が相当数見られ、それに含まれる特定技能外国人の受け入れも始まっている。畜産業が多様な外国人労働力を期待して雇用労働力の安定化を図るには、先行地域の受入実態調査から多様な外国人労働力を含めた従業員の職位職階のあり方などを明らかにしなければならない。本調査は、この問題意識を基に畜産農業のうち、特に牛(繁殖・肥育・酪農)部門に着目し、乳用牛・肉用牛ともに飼育頭数1位の北海道、乳用牛都府県1位の栃木、肉用牛都府県1位の鹿児島の外国人労働力の受け入れ実態について、統計や現地調査などから考察した。
1 はじめに
 深刻化する少子高齢化・過疎化を背景とした地域社会における人手不足の状況に対して、外国人農業労働力調達に対する注目が高まっている。外国人技能実習機構(2021a)によれば、2019年度の畜産農業第1号団体監理型技能実習認定件数は3060件であり、特定技能外国人や高度人材などの他ビザ者と合わせると、年間3000数百人にのぼる外国人労働力が新たに畜産農業に受け入れられているものとみられる(注1)。外国人畜産労働者数を単純にこの3倍とすると、およそ1万人前後と推計されるが(注2)、若林(2017)によれば畜産経営(単一経営)に雇用されている常雇労働者数は4万3475人(2015年)であり、外国人畜産労働力はすでに常雇労働力の2~3割程度を占めるに至っているものとみられる。すでに日本の畜産農業は外国人労働力なしには成り立たなくなっているといっても過言ではない。
 畜産業の中で重みを増している外国人労働力だが、しかしながらこれまで外国人農業労働力調達の中心は耕種農業だったこともあり、外国人畜産労働力調達を考察する上で基礎となる諸概念が畜産業界では必ずしも十分に認識されていない現状がある。

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