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日本トップの乳牛糞尿によるバイオ発電と液肥生産。北海道鹿追町環境保全センター
9月に日本でトップのバイオガスプラントを見てきました。こうした施設が2009年から稼働していることを知らなかった。
町の乳牛2万頭弱、その糞尿を各農家が複数持っている写真の糞尿コンテナーに入れてプラントに運び込む。このプラントは1日の処理能力は成牛換算で1870頭、これを発酵槽で発酵させ、メタン発酵後の消化液は良質な有機質肥料として写真の貯留槽(3基保有)に貯め、スプレッダーで畑に散布。メタンガスは直接燃焼のガス発電機(写真以外に200キロワットがありコージェネ発電機2機で電気と温水を回収)で、所内の電気を賄ってのち(30億円の施設投資の半分は農水省補助金なので電力会社への売電は制限されているようだ)に北海道電力に売電。しかし今までは単価7円が40円に買い取り制であがり、これで収支がランニングコストから事業費の回収に充てられるようになったとのこと。これだけの規模(町も加わった利用組合方式)だが施設費はやはり大きいのだと認識。規模が小さくても可能かどうか、研究が必要。
期待していたソーラーシェアリング。農地と太陽光パネルの両立を実現してくれました。福島県南相馬市です。
(社)えこえね南相馬ホームページ”から。大学で昨年春開いた再生エネルギーの受講生、頑張りました。当初は農地にパネルを敷くなら農地転用だと・・・・転用申請?これだと我々とは趣旨が違う。彼らと話し合い、農水省にも私から意見を出して、ようやく、農業を妨げないなら…ということで認められたものです。農作物に必要な太陽光は作物に注ぎ、収量にもダメージを与えません。人間やトラクター作業に邪魔にならないような高さです。
このほかにも、法面はどうか、放棄地はどうかと彼らの現場での苦心が続きます。新潟市の亀田郷土地改良区は、基幹水路の南面の法面にパネルをずらーっと並べる試験を実施しています。成功です。
今回は太陽光です。できれば、このサイト、ファイルを小水力発電と議論と太陽光とを分けて行うのがよいのですが・・・・・まだホームページの作り方、修行中でご容赦。
農業用水路の水利権変動への対応、発電機の能力でカバー
先に述べたように、許可水利権を持つ農業用水路、従属発電では届出のみで発電機設置が可能になりますが、夏の稲作時期は最大水利量だが、他の時期は必要度が落ちると許可水利権は少ない。さらに非灌漑期の半年はコメに水はいらないと最低の水利権がゼロ科、ゼロに近い水準になっている事例が多いです。
これに対抗して、最新の発電機でどの程度の変化の許容度があるか、茨城大学の小林先生にお尋ねしました。下記のようにかなり幅があるようで、発電機の能力をどこに設定してどの程度の機械や構造にするか、検討の参考にしてください。
中落差のフランシス,クロスフロー,プロペラにはガイドベーン,
高落差のペルトンにはニードルという装置があり,
流量が変動してもあまり効率を下げないで発電することができます。
(プロペラ,とくにカプランは,流量に応じて羽根自体を動かせます)
通常,最大使用水量の50%くらいまでは,最高効率の10%低下以内で発電ができると思います。
ペルトンであれば,30%〜20%流量でも効率10%程度での発電が可能だと思います。
かんがい用水を使う場合,
最大使用水量は,おそらく最大流量(数日間,1旬以内?)は対象とせず,
通常かんがい期の流量を使いますので,
冬期も取水量が通常期の30%〜50%程度であれば,
1台の水車発電機で対応できると思われます。
ただし,小型化を前提に調整用の装置を省略することがあり(とくにペルトンのニードル)
そのような機械を設置するときは,
流量変動により発電効率が大幅に低下したり,
発電ができなくなったりする可能性があります。
その場合は,通年で確保できる流量を最大使用水量にするなど,
使用水量を機械に合わせて決めるというということも考えられます。
したがって,変動幅に応じた機械設計をすることが合理的なのか,
機械を想定して使用する流量幅を決める方が合理的なのかは,
発電計画において,しっかり検討すべきかもしれません。
いずれにしても,発電計画,設備選定,維持管理性や経済性などを考えるために,
最大使用量の設定自体は重要な検討課題です。
2013年6月高崎駅近くの新幹線から:世界でも稀有な麦秋と田植えの水田2毛作
群馬県下の天狗岩用水発電所です。
小水力発電と水利権、そして都会の消費者との関係を議論した土地改良新聞の記事を載せます。
今回はPDFですので、うまく読めればよいのですが。
すでに載せた記事の形式よりも読みやすいことを願っています。
うまくいけば、前のニュースやブログでの土地改良新聞の当該記事は削除せねば。
「新潟の土地改良100年を祝う集い」で「これからの土地改良制度を考える」の講演をしました。
2013年6月13日、新潟県民会館で開かれた新潟の県土を作り上げて100年の歴史を祝う大きな会合に招かれ、上記の課題で講演をしました。
耕作者主義の土地改良法だが現実は土地所有者が組合員になっている土地改良区の現状。補助事業である土地改良事業は受益者負担の原則だが、その負担を払いきれず土地改良区の賦課金滞納という形で問題が浮かび上がっている(生産者米価の恒常的な下落が背景にあるが)。そして土地改良区による差し押さえ、さらには競売、といった方向も出ている中での、あるべき土地改良制度を論じた。
いずれその中身はこのサイトで紹介し議論を頂かないと考えているが、未だこのサイトの形式や見やすさの改善の手段が見つからず(未だ写真も載せていない)、近くこの工夫をしたうえで、中身を解説したい。さしあたりは、堀口健治、「戦後・土地改良を支える仕組みの変遷と農家負担のあり方」、堀口・竹谷編著『農業農村基盤整備史』農林統計協会、pp.1-30、2012年や堀口健治、「農業インフラの役割とあるべき公的支援」、梶井功編著『「農」を論ず』,農林統計協会、pp.113-144,2011年を参照してもらいたい。
講演の中で述べた小水力発電も、農業・農村の多面的機能論や自然再生エネルギーとの関係で議論したが、その日の祝賀会でも質問やご意見をいただいた。可能性が大いにあるが、冬の豪雪時期に発電機を置く予定の用水路の状態が全く不明であり、先ずはそこから調査しないと…・といったところから、すでに基幹用水路の南面や土地改良施設の敷地等に太陽光パネルを置いたうえで、農業用水路に発電機を置く計画を立てているところまで、県内、多様であった。
事前に県でお聞きした、新潟県の1,2級河川にある農業用の水利権の数は1200件、うち非灌漑期の水利権がゼロは270件、残りは冬も量は少ないが水利権を持っている現実。さらに、面積は小さくても慣行水利権は4500件もある状況。新潟の水田は15万ha、うち許可水利権は9万haだから、天水田やため池を除いても慣行水利権の水田は大きい。
ということで、小水力発電を盛んにするためには、非灌漑期の低い水量を補うためにも水量的に可能であれば発電用の新規水利権設定の簡素化、届出制の対象になりにくい慣行水利権の用水路での発電申請の容易化、の努力がなされていることも紹介しました。ダム水路主任技術者や電気等の主任技術者の、発電事業者の必置義務を県の連合体等で代替する方向などの規制緩和も要請しているところです。
農業用水利権は多くが時期別に最大取水量が決められているのです。
江戸時代以来の慣行水利権を許可水利権に切り替えさせ、旧建設省は稲作用であれば、田植や代かきどき、あるいは成長期の保水など、必要な水量に絞りこんで許可を出してきた経緯があります。
ために非灌漑期、すなわちお米に水が不要な冬期はゼロか極めて少い取水しか認められない、水利権になっています。すなわち発電機を設置する場合、その能力をどこに合わすべきか、という問題です。
ということは、流れていても全ての水を使えない事情もあるということですね。
新規に発電用水利権をとるか、発電機に時期によって大小の差があっても応えられるようなタイプがてきるかどうか、検討、開発課題があるということです。







