「新潟の土地改良100年を祝う集い」で「これからの土地改良制度を考える」の講演をしました。

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2013年6月13日、新潟県民会館で開かれた新潟の県土を作り上げて100年の歴史を祝う大きな会合に招かれ、上記の課題で講演をしました。

耕作者主義の土地改良法だが現実は土地所有者が組合員になっている土地改良区の現状。補助事業である土地改良事業は受益者負担の原則だが、その負担を払いきれず土地改良区の賦課金滞納という形で問題が浮かび上がっている(生産者米価の恒常的な下落が背景にあるが)。そして土地改良区による差し押さえ、さらには競売、といった方向も出ている中での、あるべき土地改良制度を論じた。

いずれその中身はこのサイトで紹介し議論を頂かないと考えているが、未だこのサイトの形式や見やすさの改善の手段が見つからず(未だ写真も載せていない)、近くこの工夫をしたうえで、中身を解説したい。さしあたりは、堀口健治、「戦後・土地改良を支える仕組みの変遷と農家負担のあり方」、堀口・竹谷編著『農業農村基盤整備史』農林統計協会、pp.1-30、2012年や堀口健治、「農業インフラの役割とあるべき公的支援」、梶井功編著『「農」を論ず』,農林統計協会、pp.113-144,2011年を参照してもらいたい。

講演の中で述べた小水力発電も、農業・農村の多面的機能論や自然再生エネルギーとの関係で議論したが、その日の祝賀会でも質問やご意見をいただいた。可能性が大いにあるが、冬の豪雪時期に発電機を置く予定の用水路の状態が全く不明であり、先ずはそこから調査しないと…・といったところから、すでに基幹用水路の南面や土地改良施設の敷地等に太陽光パネルを置いたうえで、農業用水路に発電機を置く計画を立てているところまで、県内、多様であった。

事前に県でお聞きした、新潟県の1,2級河川にある農業用の水利権の数は1200件、うち非灌漑期の水利権がゼロは270件、残りは冬も量は少ないが水利権を持っている現実。さらに、面積は小さくても慣行水利権は4500件もある状況。新潟の水田は15万ha、うち許可水利権は9万haだから、天水田やため池を除いても慣行水利権の水田は大きい。

ということで、小水力発電を盛んにするためには、非灌漑期の低い水量を補うためにも水量的に可能であれば発電用の新規水利権設定の簡素化、届出制の対象になりにくい慣行水利権の用水路での発電申請の容易化、の努力がなされていることも紹介しました。ダム水路主任技術者や電気等の主任技術者の、発電事業者の必置義務を県の連合体等で代替する方向などの規制緩和も要請しているところです。

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