先に述べたように、許可水利権を持つ農業用水路、従属発電では届出のみで発電機設置が可能になりますが、夏の稲作時期は最大水利量だが、他の時期は必要度が落ちると許可水利権は少ない。さらに非灌漑期の半年はコメに水はいらないと最低の水利権がゼロ科、ゼロに近い水準になっている事例が多いです。
これに対抗して、最新の発電機でどの程度の変化の許容度があるか、茨城大学の小林先生にお尋ねしました。下記のようにかなり幅があるようで、発電機の能力をどこに設定してどの程度の機械や構造にするか、検討の参考にしてください。
中落差のフランシス,クロスフロー,プロペラにはガイドベーン,
高落差のペルトンにはニードルという装置があり,
流量が変動してもあまり効率を下げないで発電することができます。
(プロペラ,とくにカプランは,流量に応じて羽根自体を動かせます)
通常,最大使用水量の50%くらいまでは,最高効率の10%低下以内で発電ができると思います。
ペルトンであれば,30%〜20%流量でも効率10%程度での発電が可能だと思います。
かんがい用水を使う場合,
最大使用水量は,おそらく最大流量(数日間,1旬以内?)は対象とせず,
通常かんがい期の流量を使いますので,
冬期も取水量が通常期の30%〜50%程度であれば,
1台の水車発電機で対応できると思われます。
ただし,小型化を前提に調整用の装置を省略することがあり(とくにペルトンのニードル)
そのような機械を設置するときは,
流量変動により発電効率が大幅に低下したり,
発電ができなくなったりする可能性があります。
その場合は,通年で確保できる流量を最大使用水量にするなど,
使用水量を機械に合わせて決めるというということも考えられます。
したがって,変動幅に応じた機械設計をすることが合理的なのか,
機械を想定して使用する流量幅を決める方が合理的なのかは,
発電計画において,しっかり検討すべきかもしれません。
いずれにしても,発電計画,設備選定,維持管理性や経済性などを考えるために,
最大使用量の設定自体は重要な検討課題です。