再エネの第3回の水資源、第4回の畜産バイオマスの記事を載せます。日本農業新聞23日、24日です。

水資源は、小水力発電、そして意外に忘れられているため池の太陽光発電、を紹介しました。

畜産バイオマス、ようやく糞尿を利用しての発電、展開してきているが、並行して出てくる消化液、その内容は貴重な肥料になるのに、使わずに河川等に流している。もったいない。濃縮化、固形化、の技術が進んできているので、大量に出てくる消化液を地域で有効に使ってもらいたい。そのためにはサービス会社等、仕組みが必要。
また小規模の畜産ではメタンガスによる熱利用の仕方もあることを紹介した。バイオマス発電のみが有効利用でもない。

日本農業新聞での農業・農村での再エネ連載、今回は4回目の3月24日で終了です。

木質バイオマスは今回外しました。日本農業新聞の25日の論説は、「発電用の木質燃料、安定供給へ体制を築け」、そうなんですね。
管理できていない、だから利用もされていない日本の膨大な森林資源、そして足りないからヤシ殻などを大量に輸入している。
ならば、日本自身で、主伐・植林・下刈り、この仕組みをどう構築するか、これに応えないと、安定供給体制にならない。ここが堀口にはまだわからないので、今回は外した次第。急いで研究・調査します。
21日、22日の第1回、第2回の記事、カラーで写真がはっきりわかるように、記事を載せておきます。
記事では、太陽光、今までの林地や農地転用で面積を稼いできたのだが、農地は自給率をあげるためにはこれ以上の減少は避け、そのためにもソーラーシェアリングを大いに強調しました。しかし、今も荒廃農地が多く発生し、その面積は大きいので、今回もそこに目を付けている事業者が多い。そして、それは「再エネ」なので、オフサイトで再エネが欲しい企業に売る戦略が動いているように思われます。まだ調査していませんが・・・

3月19日の日本農業経済学会で「日本農業における外国人材の受け入れの現状と課題」で座長を務めました。

アジア農業経済学会との共催だったので、多くのセッションがあり、我々のは正式な学会シンポなのですが、2時間の短さでした。しかしこの大事なテーマがようやく農経学会のシンポテーマになったことを喜びたいと思います。
青山学院大学の立派な本多記念国際会議場で開かれ、堀口は座長としての解題、カンボジア・シプロ社の相談役・和泉さんが送り出し機関の役割、北海学園大の宮入さんが北海道を事例に外国人労働者の農業での受け入れ実態、札幌エージェントの土居さんが派遣形態による外国人のホームヘルパー、計4人の報告を1時間強で終え、その後は活発な質疑を受けて議論しました。これが論文で学会誌に載るのは半年後でしょうから大分先になりますが、いろいろな形でその内容を雑誌等で先に読めるように努力したいと思います。
堀口が使った図表で、下記の図は日本人の49歳以下の新規就農者数の推移です。直近では新規に雇用就農した数が8500人であり、今まで最大を占めていた新規自営農業就農者(自家に家族として就農)がそれを初めて下回ったことが話題になりましたが、それでもまだまだ新規就農者の数は少ないですよね。
それに対して、2枚目の図は農業に従事する外国人の数です。直近は2022年10月末の数字ですが、構成がまだわからないので、計の43600人のみわかるのですが、図に載せていません。しかし図の2021年のそれと比べると1年間でちょうど5千人の増加です。雇われ日本人の増加が8500人でしたから、これに5千人という数(この外国人は雇われでしかも若手ですからおなじ対象です)は貴重です。新規に人を雇いたい農家・法人は、その3分の1は外国人に依存しているということになります。
コロナ以前の4年間は、毎年の外国人の増加量が4千人なのですね。コロナあとが5千人、多分、これからさらに増えるでしょう。この日本農業を強化する、数少ない要因の、大事なひとつである外国人、これを注目しておく必要があると思われます。

20230320新規就農者数

20230319農業従事外国人人数

小田原市の「小田原かなごてファーム」のソーラーシェアリングを見学に行ってきました。

代表の小山田さんが自ら案内してくれて、5機までできたソーラーシェアリング、そのうち3号機、2号機、そして最近発電の5号機を駆け足で見てきました。
うち、2号機は2018年立ち上がったのですが、その年の台風で完全に倒れ、これを支え棒やチェーンを付けて、新たに立ち上がったものが写真に載っています。
いろいろな苦労がありますが、5号機はオフサイトで供給し、このファームでは最初のオフサイトの3号機を踏まえ、本格的なものでした。
これらの中身は小山田さんの著書『食エネ自給のまちづくり』田園都市出版、2022年に詳細に載っています。彼のソーラーシェアリングはすべて耕作放棄地を農地に復活させ、太陽光も農業も、という趣旨を実現していることがよくわかりました。最近は放棄地の地主さんから進出要請が来ているとのこと。
地元に貢献していることがうれしいですね。

2月27日に匝瑳(そうさ)市、3月3日に富士宮市にソーラーシェアリングを見に行きました。

匝瑳市は市民エネルギーちばの拠点であり、代表の東さんなど、皆さんが同行して色々勉強させてくれました。富士宮市は、カネヘイファームの後藤さんが、堀口と全農の日高さんに、茶園のソーラーシェアリング、これにシャインマスカットの成果も含めて、説明してくれました。写真を含め、後程、ソーラーシェアリングの重要さを説明したいと思います。

匝瑳市のソーラーシェアリング、大変印象的でしたが、ここでは、パタゴニア社の支援のソーラーシェアリング、大麦ですが、立派なものです。機会をとらえて、その仕組みを紹介したいと思います。2枚の写真はその一つです。

富士宮は茶園のソーラーシェアリング、の写真です。ソーラーシェアリングの下の茶は、寒冷紗などもかけますが、玉露の位置づけになります。

日本農業新聞に四国の農家の人々にカンボジアに同行した記事を書きました。

現地での3倍の応募者からどのように選抜し、翌日は採用が決まった農家を訪問して、両親や兄弟らと話し合う様子をフォローしました。そのほかにも来日前の日本語の勉強の仕方なども拝見しました。双方ともに熱心ですね。ただ記事の分量が大きく、ここに掲載できません。2023年1月23日の月曜に乗せた初回の記事のワード版を載せます。写真も略です。
1月3日、2月6日の月曜の、2回目、3回目は日本農業新聞をご覧ください。

記事の元原稿です。
技能実習生選考に向かう農家のカンボジア同行記    早稲田大学名誉教授・堀口健治

1. カンボジア・プノンペン大学内で行われた集団面接
 2022年12月18日に行われた選考は翌年の23年8月に日本へ来る実習生の選抜である。08年設立の受け入れ監理団体ファーマーズ協同組合(近藤隆代表)は香川と徳島の大規模な農家・法人46事業体が構成する事業協同組合だが、年4回募集のうち、今回受け入れる事業体は7、うち二人を希望する所が三つあり、計10人の実習生をこの日に決めることになる。カンボジアの送り出し団体はアグリファーマーズカンボジア(14年設立)で、ファーマーズ協同組合等からも出資を受け、これらの農家・法人のために主として活動している。ファーマーズ協同組合はカンボジア、ラオスを主に技能実習生を受け入れており、さらに登録支援機関として特定技能も受け入れている。
 カンボジア各地から集まった応募者31名は緊張していたが、最初に、簡単な「足し引き」・乗除の計算、次にIQテスト、写真のバーベル持ち上げ、そして豆をピンセットで別の皿に移す作業(左利きがわかる)を時間内でこなした。そしてすぐに集計され、面接に役立てられていた。説明はすべてアグリファーマーズカンボジアだが、農家による面接の質疑も彼らが通訳した。これらの方式は従来からのやり方であり、その後は数人ずつに分かれての面接で、他のものは外で待つ。
 しかし面接用資料の詳細さには驚かされた。学歴・年齢・未婚を含む婚歴・住所・身長体重・今の職業・家族全員の年齢と仕事が載っている。また全員が農家出身であることもわかる。大事なのは応募の事情で、ファーマーズ協同組合に雇われ帰国した者からの推薦が極めて多い。だから日本ではどのような仕事か、所得や生活等の情報を得たうえで応募しており、ブローカーを介しての応募は無い。事前に募集情報が帰国者に伝えられ、彼らの兄弟親戚、友人、村人に伝わる仕組みなのである。
 農家が採用したい実習生の条件はカンボジアに来た代表と4戸の農家に伝えられていて、事情で欠席した三つの事業体のためにも選抜することになる。男2、女8の計10人採用だが、男はいずれも既婚が望ましいとしている。運転免許証保持の希望もある。
応募者は、3年間の技能実習が21名女、7名男、そして1年の女3人(2名はMOUを結んだブレックレーップ大学)で肉牛等の1年職種に対応する。既婚は男が1名のみだが、女は既婚だけでなく離婚者も結構多い。
 年齢分布は、30歳代が女3名のみで、20歳代がほとんどであり、10歳代は数名である。学歴は大卒がわずかで、他は高校、中学、小学に分布する。しかし学歴による差は大きくはなく、数の計算で満点を取るものはいない。またバーベル挙げを見てもそうだが、体全体を使うのには慣れていないようだ。多くが両親の農業を学卒後助けているが、次いで縫製の雇われが男女ともに極めて多く、これに次いで雑多な仕事の雇われである。兄弟姉妹は多く、応募者と同じような仕事に従事しており、また彼らの中には日本、韓国に行っている者、また帰ってきた者が含まれる。夫婦の場合はどちらかがすでに日本にいるものが結構いる。
 面接は午後の時間をかけてじっくり聞き取り、その後、審査した5人が話し合って、夕方までに10名の採用を決めた。その後、彼らの前で、近藤氏が雇用条件、また収入などの計算やそれから差し引かれる税金や保険、家賃、また自ら調理する食費などを想定して、およその期待される手取り額等の説明を、懇切に行った。

2. 翌日の家庭訪問そして面接で合格できなかったものへの対応
 多くはプノンペンの南に展開する地域(北は隣接のタイへの出稼ぎが多い)からの応募なので、採用された者の家庭訪問は昼間の往復で可能だから、きわめて遠隔というほどではない。しかし訪問場所で3グループに分かれ、採用者の両親や兄弟に会うようにしていた。代表の近藤さんは、実習生を受け入れる事業体は面接参加が原則で、特に経営者が向こうの両親に会うのは極めて大事だとしている。今回は年度末なのでどうしても来れなかった事業体が受け入れる農家には、代表が自ら回って挨拶していた(写真)。
訪問した村では、日本から帰国した実習生が親にプレゼントした新築の家があちこちにあるのが特徴だった。
翌日、日本の技能実習からすでに帰国していた7名の男女にプノンペンに集まってもらい話を聞くことができたが、最も多いのは親への家のプレゼントであった。 平均一人3年間で300万円のお金を貯め、半分が家の建築に充てられていた。より大きな家は、兄弟姉妹で時期をずらしながら日本に行き、合算して建築費を出していた。残りは、農地やトラックの購入等だけではなく、食料販売店や食品加工などの新規商売に充てたりしていた。しかし、大卒者が多く雇われる日系企業やタイのCPの進出工場などに、幹部候補として大手企業に雇われたのが、帰国実習生の成功事例として語られていた。日本で学んだ働き方や日本語などが評価され、低学歴でも就職できたからである。また実家の農業を助ける人も多く、中には日本のメロン栽培農家で働いたので、戻った村で初めて取り組んだ例がある。虫と病気で2年間失敗し中止したという。今後は日本との条件の差を考えながら、親の農業を助けつつ、慎重に次の取り組みを考えていた女性もいた。
面接で多くの応募者が不採用になっているが、彼らは受験料を返してもらい村に戻るものの、多くが次の応募を狙っている。送り出し団体もそれを勧めており、2回目以降の採用の可能性を強調していた。カンボジアに帰国した若者のヒアリングでは、多くが1回ないし2回目の合格で日本に向かっていることを述べていた。それでも兄弟の中で何度も落ちてあきらめた事例もあるようだが、ファーマーズ協同組合は、アグリファーマーズカンボジア設立以前から長く世話になっていた送り出し団体C-Pro社の募集にも応募するように勧めている。同社は主に農業だが、農業以外の職種の募集もしているから、両方の送り出し団体を使いながら、多くが日本行きに成功するように協力している。
兄弟や知り合いの中には、残業が無制限である韓国農業の多い収入を期待した者がいたが、現地で行われる韓国語だけの試験をパスし就職を希望する仕組みとのことである。しかし試験の成績は2年間で無効になるので、この間に採用されずに結局諦める人が多いことも知られているようである。日本のように面接で採用が決まり、その後、半年、合宿所に入り日本語や日本農業の初歩を準備する方が安心だという。なお円安の影響はまだ大きくはなく、いずれもとに戻るのではないかと彼らは期待し、応募が大きく減るようにはなっていない。

3.半年の合宿とその後の展開
アグリファーマーズカンボジアが日本側の応援も得て農村に設置した合宿所は、50名近くの男女を受け入れ(写真)、日本語を集中的に学び、農業の初歩、日本の生活や法律・規則等も知ることになる。特に研修の性格を持つ日本の技能実習を成功裡に進めるため、OJT(仕事を日本人と同じようにしながら研修する)なので日本語の獲得は必須である。仕事の内容・その意義と日本人の指示説明を理解することが必要である。他国のように、現地語を知らずに、出稼ぎに来た者だけで、周年、単純労働を繰り返すのは、実習法違反である。技能実習生は各種の仕事に従事させなければならないので、そのためにも日本語のレベルアップは必要である。
しかし日本語教室で見た訪日直前の日本語クラスは、黒板等に示された会話の例がすべてひらがなで、これを使い、お互いに単語を変えながら大声で発音を繰り返していた。それでも低学歴でしかもわずか半年で習熟する日本語レベルは高くはなく、N1からN5まである日本語能力試験の最低のN5でも、訪日前にパスするのは無理なようである。訪日初期では同郷の職場の先輩の応援を得たり、日本人上司のひらがなを使っての丁寧な説明も必要である。さらにオンラインで自習することにもなる。なお日本語の試験をパスすると手当てを出すところも出てきているようで、日本語講師を呼んで学ばせるところもある。また必要な場合は、監理団体の通訳経由で、電話説明を受けることが出てくる。。
中国語の学習がほとんどない人でもすぐに受け入れる仕組みの台湾とは、日本は全く異なる。最初の受け入れは、両国とも不熟練労働力だが、働きながら日本語と技能の深化を期待するのが日本の技能実習制度であり、その成果の上に生まれたのが19年に設けられた特定技能1号である。近く日本に向かうクラスの実習生からのヒアリングでは、技能実習は1,2号では3年間だが、これにさらに3号の2年が加わることは知っていた。多くがその3~5年で帰国し、結婚や同国での仕事を行うのが、実習生の大半である。しかし特定技能にも関心を寄せる若者もいる。帰国した若者の多くがN4をパスしていたが、それは特定技能を意識していたる。
特定技能1号の人は職場のリーダーが想定され、給与も上がる。農業はまだだが、家族帯同が認められる特定技能2号の建設では1号を1年数か月で資格を取り、この春に2号になった初めての事例が出ている。これはまだあまり知られていない。しかしそうすれば、大卒の技術・人文知識・国際業務のビザで家族を帯同し、一定の年数で常住ビザを申請できるのと同じように、低学歴の若者でも大卒者と同じように日本に長く住むことが可能になる。これはすぐに情報として伝わるであろう。
合宿中の若者も、また最近帰国した若者も、訪日準備に必要な資金は30万円から40万円前後であり、それに相当する額を借り入れており、数か月で返済できることも知っている。資金の大きな部分は半年の合宿と送り出し団体の費用である。日本の場合は、往復の飛行機等は雇用者が負担し、さらには講習のための2週間は研修手当も含め、日本側の負担である。
こうした仕組みの下で、日本を目指す若者が今後も続くとみることができる。

筑波書房から堀口・澤田編『増加する雇用労働と日本農業の構造』を出版しました。

もう少しすると本屋さんに出ると思います。法人経営、家族経営、いろいろな事例も紹介しているので、参考にしてください。最近は外国人を含め、いろいろな形で雇用を受け入れ、経営を拡大したり強化している経営体が多いです。それが、家族経営だと、後継者を確保するのにつながったり、経営の質的な充実になっています。

技能実習制度、特定技能の見直しについて堀口の見解を新聞に載せました。

政府が見直しの議論を始めたので、堀口も実態調査や共同研究を基礎にして、意見を表明しました。日本農業新聞11月20日号の「現場からの農村学教室」です。実際の記事は、テーマが「日本の人材育成型外国人受け入れ」、メインの見出しは「在留の制度拡充が鍵」、小見出しは、「影響を考慮し数定める」「労基法の順守を徹底」になっていますが、本文はほとんど変わりありません。
20221103技能実習から特定技能への展開にみる日本独自の人材育成型外国人受け入れの仕組み早稲田大学名誉教授・堀口健治

日本農業新聞に外国人と日本農業のことを寄稿しました。

9月20日号です。前の法務大臣が技能実習制度のことに触れ、抜本的な見直しが必要と述べて、すぐに日経新聞、朝日新聞、が同調し、歓迎しています。しかしこれは前から指摘しているのですが、間違いです。技能実習制度が実際にどのように使われ、彼らがどのように働き、また研修しているか、そして労働基準法に守られた雇用労働者であり、研修手当という安い手当てでないことは調べればすぐわかるのですが・・・・現場の調査に出ていません。駆け込み寺の現場は見ているのでしょうが、それだけです。
駆け込み寺や、契約を守らない経営者がいることとかは、大いに報道してそれを直させねばなりません。しかし、多くは技能実習制度の趣旨を守り、雇用契約が守られています。制度が間違っているからそれが発生するという論理は、あたっていません。実習、研修は、日本人と同じ仕事をしながら、on the job training で学び、しかも給与は、同じです。実習と雇用労働とは、仕組みとして一体になっています。
中国地域にある大手企業が、日本人の嫌う仕事のみを実習生に3年間やらせ続けたので、実習機構から違反を指摘され、改定を求められました。研修のためには各種の仕事を計画通りにしなければならないのです。
またシンブルな雇用労働である韓国を望ましい制度という議論がありますが、最近(2021年5月14日)、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが「現地調査からみた韓国・雇用許可制度の実態」として、日本と違い韓国は「フロントドア」から入れても、借金はあるし、失踪率は高いことを明らかにしています。日本は「サイドドア」だから、不正が多い、ということは間違いになるのですね。
堀口は、日本が研修で入れるのはサイドドアと思いませんし、日本の技能実習の仕組みは、研修と雇用、とが一体になっています。
日本は最近の失踪率が1-2%になっていますが、この中にはブローカーに騙されているのも含まれ、雇用主のひどい扱いで逃げてきた、という事例だけではありません。借入金も関係者の努力で、減ってきています。実態を踏まえたうえで、議論をする必要があります。

不熟練労働力を受け入れる日本独特の技能実習制度について実際と機能を学会誌に書きました。

残念ながら技能実習制度という言葉を聞くだけで、人権侵害、「奴隷労働」を語る人がいるようですが、コロナを経ても、来日してくれる、手が上がるということは、そうではなくて、来てくれる人にとってメリットがあるのですね。
雇用契約を結び、かつ on the job training なので、形式と実態が矛盾することはありません。帰国後は半分は元の会社に戻り経験を生かしているようです。しかし日本の実習は、細かな職種指定なので、帰国後にそれにぴったり合う仕事が直ぐに見つからないことも事実です。しかし、実態調査をすると、日系企業(途上国では多くが現地の大卒者が就職し、技能実習に来るような高卒以下の若者には採用の機会がありません)で、彼らが実習の経験を活かして多く働いており、またカンボジアでは日本語学校の教員になっている人にも多く会いました。これらも技能実習の研修の成果が生きているといえます。
一部にみられる人権侵害は、摘発・改善すべきですが、制度そのものが全体として、どのように機能しているか、まずは実状を広く把握する必要があります。前法務大臣が技能実習制度そのものが悪の根源で抜本的に見直す、という発言は、誤解を招くもので、実態をまずは正確に把握すべきだと思います。

日本地域政策研究、という日本地域政策学会の機関誌で直近の28号(2022年3月25日)
に、「農業分野における外国人労働力導入の現況と研究視座」で、全体の概観と色々な人の研究業績を紹介しました。実際とその機能を理解するのに、便利なものになると自負しています。ネット検索で、「日本地域政策研究学会」を探していただき、機関誌のところをクリックすると、どなたでもPDFで読むことができます。